センター長ご挨拶

 全国の死亡者数は年々増加し、現在は年間約130万件に達しております。年間死者数は2030年までに30万人増加するとの報告があり、死因究明に求められる期待は大きくなっております。しかし、我が国の死因究明制度は諸外国に比べ十分なものとは言い難い状況にあり、事故や犯罪の見逃し防止の観点からも死因究明体制の強化が強く求められております。

平成24年6月に「死因究明等の推進に関する法律」が議員立法により制定され、増加する異状死の死因究明や大規模災害の発生に伴う死亡者の死因究明と身元確認の重要性が認識されました。薬物及び毒物に係る検査あるいは死後画像診断その他死因究明の科学的な調査の活用は重点施策として計画され、平成26年6月に「死因究明等推進計画」が閣議決定されました。この計画によって死因究明等が重要な公益性を有するものとして位置付けられ、死因究明等に係る実施体制の強化と死因究明等に係る人材の育成及び資質の向上にむけた取り組みが実施されました。さらには、令和元年6月に死因究明等推進基本法(令和2年4月1日施行)が成立し、死因究明等(死因究明及び身元確認)に関する施策を総合的かつ計画的に推進することとなりました。具体的には、1)死因究明により得られた知見が公衆衛生の向上及び増進に資する情報として広く活用される、2)災害、事故、犯罪、虐待等が発生した場合における死因究明がその被害の拡大及び再発の防止等の実施に寄与するよう、国・地方公共団体・大学・医療機関・関係各機関と相互に連携を図り協力しながら実施することが求められました。

このような状況を踏まえて、本研究院では平成28年4月に死因究明教育研究センターCenter for Cause of Death Investigationを設置しました。令和3年5月からは、法医学/中毒学部門・病理学/医療安全管理部門・オートプシーイメージング部門・法歯学部門に再編し、死因究明・外傷評価・身元確認等に係る教育・研究拠点として活動を展開しております。そこでは、学内他学部はもとより、北海道大学病院、全国医療機関、道内外の大学、北海道警察、北海道保健福祉部、科学捜査研究所、北海道医師会、北海道歯科医師会、地域基幹病院、海上保安庁など学内外の多職種と積極的に連携し、死因究明等の推進と総合的人材の育成に当たっております。

皆さまには本センターの活動にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

死因究明教育研究センター   センター長 畠山 鎮次